第5章 目的 【煉獄】
…ということで、チェックインをしているという訳です。
——20階の5号室…って、絶対高いよね⁉︎
お姉ちゃんどんだけ⁉︎
エレベーターに乗り2人きりなると、そっと煉獄さんが私の肩に手を回してきた。
彼にとっては普通のことなのだろうか。
私は顔がとても熱くて心臓が尋常じゃないほど脈うってるんですけど⁉︎
ポンっと到着の知らせが鳴り、ドアが開いた。
すると、煉獄さんの手が離れ私の項をスッと通って…
「⁉︎」
私がパッと項を押さえると、煉獄さんは不思議そうに私を見る。
「む?どうした?降りよう。」
…私の意識しすぎ?
自意識過剰⁉︎
考えすぎ、何も考えるな奏。
煉獄さんがカードキーを翳す。
ピーピピッと音がしてカチャンと開錠された。
——男の人とホテルに入るなんて…いつぶり?
いつ、誰とかも思い出せない程遠い昔。
…私、その時なんかしたんだっけ?
それすら記憶にない。
「すごい部屋だな!」
おそらくスイートより一つ下くらいの部屋だろう。
日頃なら絶対に自分では出せない場所。
「これは満喫しないと勿体無いんじゃないか?」
煉獄さんも心なしかウキウキしている。
カーテンを開けて、夜景を見る。
「こっちにおいで。明日の朝には遠くまでよく見えるのだろうな!」
東京のようにはいかないが、それなりな夜景が広がっていた。
「田舎ですけど、意外と綺麗なんですね。」
煉獄さんの手がまた肩に回ってきた。
私がその手を見ていると
「…彼氏役だろう?」
「それは実家でだけで大丈夫ですよ。2人の時は役をしなくても大丈夫です。」
「むぅ、それは残念だ。」
…残念ってどういう意味?