第5章 目的 【煉獄】
お母さんに送ってもらいながら、今後どうしようかを考える。
お母さんと煉獄さんは今日のことを楽しそうに話している。
すぐ別れたとなれば、宿泊代が上乗せ。
しかも高級ホテル。何故よりによってそこなのか。
「奏さん、大丈夫か?」
「う、うん、ちょっと飲みすぎたのかなっ」
まさかずっとお金の心配をしてるなどカッコ悪すぎる。
「お姉ちゃんに感謝しなさいよ。
杏寿郎くんのこと、とっても気に入ったのね。
明日は12時までに来てくれればいいからね。
もしあれだったら迎えに来るわ。」
そう言って、お母さんは去っていった。
…って、もしかして私煉獄さんと同じ部屋で寝るの⁉︎
「…私、どこか違うところ探しますねっ。」
「なぜだ?」
「だって、一緒の部屋だなんて煉獄さん嫌でしょう⁉︎」
私は慌ててタクシーを捕まえようとした。
しかし、その手をパシッと掴まれる。
「お姉さんは2人分で支払ってくれているんだぞ?
無駄にするのか?」
「…う…」
「それにビジネスホテルは空いていなかっただろう?
まさか、あのホテル街に行く気か?」
「1人でそんなところを歩いていたら、素性の知れぬ男に喰われてしまうぞ。」
「…そんな「悪い人はいません…か?」
たしかに、気持ち悪いおじさんに連れ込まれるなら、断然煉獄さんの顔を見ている方が良いに決まってる。
…でも。
「大丈夫。何もしないから。」