第5章 目的 【煉獄】
…なんか打ち解けてる?
「ほら杏寿郎くんっ、もっと飲んで!」
里美は煉獄の猪口に日本酒を注ぐ。
「お姉ちゃん、あんまり呑ませすぎないで!」
煉獄さんが強いか弱いかも分からない。
もし無理してたとしたら大変だ。
「奏さん、大丈夫だ。俺は強い方だから。」
「でも…」
「里美ちゃん、酔っ払ってすぐ寝かせちゃったら可哀想だろう。もしかしたら夜はお楽しみかもしれないってのに。」
はははと笑うおじさん達。
まったく、酔っ払ったおじさん達は何故こういう話題に行きがちなのか。
「お楽しみになって堪るもんですか!
そうならないように呑ませてるのに!」
「む!そうでしたか!それは参った。」
話を合わせる煉獄さんに頭が上がらない。
それからもだいぶ呑まされお父さんやおじさんは酔いつぶれて眠ってしまった。
「全くもう。奏そろそろ移動する?」
「う、うん…そうしようかな。」
「あ…でもホテル…」
「予約しておいたわよ。」
里美が後ろから声をかける。
「今回はお姉ちゃんが出してあげる。2泊3日。
あんた達2人分。杏寿郎くん、奏のこと大事にしなかったら請求書回すからね。」
「もちろんですよ。任せてください。」
…フリなのに、無駄に重圧をかけられて申し訳なく思う。
「○○ホテル。分かるでしょ?お母さんが送ってくれるから。」
——はっ⁉︎○○ホテル⁉︎
「た、高いんじゃ⁉︎」
「だーかーら、もしあんた達がすぐに別れるようなら請求するって言ってんの。」
…えぇー。