第5章 目的 【煉獄】
『申し訳ありませんが、ご予約は入っていないようです。』
や、やっぱりー!
「ちなみに、今日って空室は…?」
『満室となっております。』
「…ですよね。ありがとうございます。」
「…ダメだったか?」
煉獄さんは優しい声で聞いてくれた。
コクンと頷くとポンと頭を撫でてくれた。
「よくある事だ!ネットだと分かりにくいものもあるからな。」
…優しい!神⁉︎神様かな⁉︎
「ふむ。しかし、寝る場所がないとなれば…
あの辺の煌びやかな方に行かないといけないかもな。」
そう言って指差す方はホテル街。
「そんなところに1人で泊まるんですか⁉︎」
「寝る場所がないよりマシだろう?
…それに、1人であそこに入るのは気が引ける。
彼氏役で来てるのに他の女性を呼ぶのも忍びない。
もちろん、君が同伴してくれるのだろう?」
「!!!ホテル!ちゃんとしたところを探しましょう!」
…と言ってもここは東京じゃない。
ビジネスホテルも沢山あるわけでもなく。
知ってる場所も少ない。
これは…力を借りよう。
「もしもし?お姉ちゃん?」
私は里美に電話をかけホテルを探してもらった。
何故、会ったこともない彼氏に奏を喰わせなくちゃならないんだといいながら、探してくれるとのことだった。
「…とりあえず、実家に行きましょう。」
私の心は沈んでいた。