第5章 目的 【煉獄】
「あぁ、良かった。このまま会えないんじゃないかって。」
安堵したような表情で話しているイケメン。
私は頭が混乱した。
彼は私の名前を呼び、会えたことに安堵している。
「な、なんで…名前?」
「む?なぜって…ここに名前、書いてあるだろう?」
「え、あ…」
彼が見せるスマホの画面にはアプリの私のプロフィール。
「じゃ…じゃぁ、あなたが…?」
「そうだ!煉獄杏寿郎という。
今日から3日間、よろしく頼む!」
ニコッと笑う煉獄杏寿郎。
——う…ま、眩しいっ!イケメンの破壊力ってこんなにすごいのかっ!
この3日後には私は塵になって消えているんじゃないかな。
「西ノ宮奏といいます。
今回は…こんな面倒な事に協力いただいてありがとうございます。」
「いや、俺たちの歳になると口うるさく言われるからな。
気持ちはわかる。」
——え、めっちゃいい人じゃない⁉︎
「分かってもらえて嬉しいです。
私の実家、特急で1時間半くらいかかってしまうので…。
乗車券も買ってあります。
後15分後のに乗って行きますね。」
「承知した!その間に君のことを教えてくれ。
彼氏役なんだ。詳しく知っておかないとおかしいだろう?」
そう言って首を傾げる仕草だけでも色気漂う。
「そ、そうですね…!は、ははっ。」
——私は実家までに命は保っているでしょうか。