第1章 贈り物 【時透】
「もう入っても良いだろうか!!」
煉獄の声が屋敷中に響く。
「良いですよー!!」
その声を聞いてすぐ、スパン!と襖が開けられた。
相変わらず奏の視界は白い世界。
「……。」
時透はどんな顔をしたのだろうか。
狙い通りビックリしているだろうか。
『時透(くん)!お誕生日おめでとう!!』
「俺…誕生日なの?
…ありがとう。」
いつも通りのような気もするが、とりあえず「ありがとう」も聞けたし、良しとする。
「これが俺たちからの贈り物だ!たくさん食えよ!」
宇髄が、さも自分が作りましたのような口ぶりで時透に促した。
ま、クリームは泡立ててくれたけれど!
「よし、出て来て良いぞ!」
そう言われて漸く皆の前に顔を出す。
頭には赤いサテンのリボン。
その姿を初めて見た面々は固まっていた。
「やーん、やっぱりかわいいわぁ!!」
甘露寺に抱きしめられ、しのぶにも撫でられ…。
照れ臭いな…
でも恥ずかしいから早く外したい。
そう思っていると。
ぐいっ
腕を引かれた。