第5章 目的 【煉獄】
そして、時は流れ8月20日。
私は東京駅にいる。
もちろん杏さんを待っているのだ。
私の実家には特急に乗って行かなくてはならない。
2人分の乗車券も買ってある。
一体どんな人だろうか。
結局連絡したのは次の日のみ。
1日一回連絡はきたけれど、やりとりというほどはしていない。
電車の時間、必要なものなどを連絡した。
そして、昨日「明日はよろしくお願いします。」と入れ、
「楽しみにしています」と返ってきた。
知らない女の実家に行くのを楽しみにできるって、嘘でもすごいなと感心した。
ピコン♪
杏(着きました。どこにいますか?)
(特急の改札前です。私は紺のワンピースを着ています。)
しばらくして、あまり人のいない改札に人がきた。
180センチあるかないかの高身長。
半袖のワイシャツにスーツのベストを着て、紺色のスラックスが脚の長さを際立たせている。
鍛えているのか、ムキムキすぎずな逞しい腕。
そして何より目を引くのはハーフアップにされた
金色に毛先に赤が入る奇抜な髪。
凛々しい太眉は眉尻で二股に分かれている。
目力もあり、アイラインを引いたかのようなはっきりとした目。
「…モデルさん…とかかな?」
東京にでて来て、ちらっと芸能人を見かけることも多々ある。
この人は知らないけれど、もし雑誌とかで見かけたら買おう。
それくらい魅力的だった。