第5章 目的 【煉獄】
ぴこん♪
ぴこん♪
意外と通知音はなる。
顔が分からないから…と言われたので、そんなに写りの良くないものを載せた。
体目的が来ないように。
でも、さらに通知が増えて困ってしまった。
「意外と受け入れてくれる人って多いんだな…」
でも、実際にメッセージを開いてみると、明らかに体目的なやつばかりで心底幻滅した。
「そういうんじゃないんだってばぁ…」
私は携帯を放り出して、もう眠ろうと思った。
通知が溜まる一方。
やっぱり退会しよう。
ここでも見つかりっこない…。
もう一度アプリを開いて、退会手続きを取ろうとした時。
『こんばんは。よければその役買いましょう。
困っているようですし。その日は僕も空いているので。」
——ん?
今までで一番まともなメッセージが来たぞ。
私はそのメッセージを開きプロフィールを覗いた。
名前 杏
年齢 30歳
出身 東京
好きなもの さつまいもの味噌汁
写真は…ナシ。
あん?あんず?
歳は近いみたい。
しかし、好きなものさつまいもの味噌汁…って。
(こんばんは。体目的の人が多いのですが、私はそのつもりはありません。)
杏(返信ありがとう。僕もその目的ではないので大丈夫ですよ。)
(私の実家で彼氏のフリをして欲しいのですが、本当に大丈夫ですか?)
杏(もちろん。困っているようだから、僕でよければ。)
(ありがとうございます。では、よろしくお願いします)
顔なんてどうでもいい。
とりあえず人は確保できた。
後は明日、詳しく伝えればいい。
今日は寝ると伝えて、連絡を終わらせた。