第4章 帰る場所 【冨岡】
俺は傷だらけの身体を引き摺りながら
門の前まできた。
正直、全身が痛み門の敷居も跨げる気がしない。
油断すれば倒れ込み、命の光さえ消えてしまいそうだった。
遠のいていく意識を何とか戻そうとする。
奏を呼びたくても声が出ない。
もしかしたら、ここではなく蝶屋敷にいるかもしれない。
鉛…いや、それ以上に重くなった足を上げて門を潜ろうとした時、
躓いてしまった。
あぁ、帰ってきたのに。
ここで終わるのか。
そう思った。
「義勇さんっ!!」
ふわっと倒れる俺を包み込む優しい感覚。
優しい香り
優しい声
一番会いたかった。
一番愛しい人の声。
「た、だい…ま。」
やっとの思いで声を搾り出し、その顔を見た。
愛しい人の目には涙がいっぱいに溜まっていた。