第1章 贈り物 【時透】
8月8日早朝。
甘露寺邸に胡蝶と奏が台所に立つ。
決して狭くない台所だが、流石に図体のでかい男たちが並べば圧迫感がある。
男たちには、時透邸で手合わせを申し込み、屋敷から出ないようにしてもらった。
「さてと!作りますかぁ!」
「甘露寺さん、まずは何を?」
「じゃぁ、しのぶちゃんは小麦粉をこの分量で計って!」
「奏ちゃんはここに卵を割って!」
「は、はいっ!」
テキパキと指示が入り、それに従い作っていく。
1時間もすればそれはそれは高く積み上がったパンケーキのお出ましだ。
「生クリームは別に持って…。
あっちでみんなに泡立ててもらいましょ!」
パンケーキを手分けして時透邸まで運び込む。
この暑い中、悪くならないように急ぐのと、ホカホカしたものを運ぶので、地獄の修行のようだった。