第1章 贈り物 【時透】
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「うわぁん、すみませんんん。」
「ちっ、奏でもダメかよ…」
宇髄が舌打ちをする。
これで、こっそり偵察するのは光が消えた。
派手好きの宇髄は何がなんでも、びっくりさせて目を丸くしている時透が見たかった様子。
頭をガシガシと掻いて悔しがっていた。
「むぅ!君でもダメなら全員ダメだな!」
「上目遣いもしたんですが、私では力がありませんでした…」
「何!それでもダメだったのか!」
煉獄が私の肩に手を置き励ましてくれる。
「…ならば俺が聞いてこよう」
そう言うのは冨岡。
『えっ…』
全員の動きが止まる。
「で、できるものならどうぞ」
胡蝶がからかい半分で促す。
それに従うように冨岡はてちてちと時透の元へと向かった。
しばらくして、どんよりとした雰囲気を下げ戻ってきた冨岡に
「冨岡さん、どういうことか分かりましたか?ねぇ、ねぇ。」
と、さらなる痛手を負わせていた。
仕方なく、甘露寺の指導のもと、ぱんけえきなる食べ物を焼き、生クリームと言う甘いのを乗せて祝うこととなった。
唯一の妻持ちの宇髄は、妻たちのためにリボンをたくさん買っていたので、そのリボンで飾り付ければ祝いらしくなるだろうという事になった。
食べ物にどうやってリボンを付けるのかと疑問に思ったが、楽しそうに皆が盛り上がっているので、その疑問は飲み込むことにする。