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あなたの…【鬼滅の刃】 短〜中編

第3章 望むままに  【煉獄】



次の日、奏と杏寿郎は街に出た。
杏寿郎が幼き頃に槇寿朗に連れて行ってもらったという歌舞伎を見たり、本屋に寄ったり、甘味処で団子を食べたりと、それはそれで忙しくも楽しかった。


杏寿郎は思う。
こうして2人で出かけることを逢瀬というのではないのか?
でも、今回は何がなんでも師範と弟子としてと言っていた。
…と言いつつも、これが実は逢瀬なのではないか?


帰り道、歩きながら考えていると、頭の中を読まれたのか

「これが逢瀬ではないよ。」

と、奏が笑った。
そして、自分がどれだけ子どもであるかも実感した。
ぶわっと顔を赤くして、『は、はいっ』と何に対してか分からない返事をする。


楽しい時間はあっという間に過ぎ、夕日が沈み始めた頃屋敷に着いた。

「杏寿郎、夕飯の支度をしてくるから先に湯浴みしておいで。
今日は君の休日だ。一番風呂に入りなさい。」

そう微笑んで奏は割烹着を身につけ、台所に向かった。


ありがとうございます、と挨拶し、杏寿郎は風呂へと入る。
湯船に浸かりながら、逢瀬とは何なんだろうと考えた。
2人で楽しく出かけること…まぁ、恋人として。だと思っていた。
たしかに自分たちは恋人ではない。
恋人になってくれというのが先なのだろうか?


しかし…
13歳の杏寿郎が想いを告げたところで、奏が受け止めるとは思えない。


そう考えていると、逆上せてきてしまったので、急いで上がった。






『師範、今日も美味いです!!』
「良かった。たくさん食べてね。」

奏は料理上手だった。
いつもおかわりをたくさんしてしまうので、ついつい眠くなってしまうのだ。

…これが子どもなのでは⁉︎

お腹いっぱいになって眠ってしまう。
そんな赤ん坊のようではいけないと、いつもよりおかわりの回数を減らして箸を置いた。

「…?口に合わなかったかな?」
『いえ!師範の料理はいつも大変美味しいです!!
しかし、お腹いっぱいになって眠くなっていてはいけないと思いまして!!』

杏寿郎の言うことは一理ある。
しかし、杏寿郎はまだ最終選別に挑む前。
そして、成長真っ只中。
一番たくさん食べて、たくさん眠って、たくさん身体を動かさなければならない時期だ。


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