第21章 我儘が聞きたい【煉獄】
部屋着に着替え、ダイニングに戻ると
お腹が空く良い香りが出迎える。
「美味そうな匂いだ!今日は一緒に祝えなくて…ごめん。」
「もう、大丈夫だって。
冷めないうちに食べよ。私も少しだけお腹すいちゃった。」
奏がスープをカップに注ぎ、2つテーブルに置く。
寝る前だからサラダとリゾット…というメニューを用意してくれた。
「いただきます!」
「はい。」
にこりと微笑んでくれる奏の顔を見るだけで、今日の疲れなど吹っ飛んでいく。
好きになって結婚した相手が奏で本当に良かった。
「うん、うまい!」
「ふふ、火傷しないようにね。」
しばらく楽しく食事をし、俺が食べ終わるくらいのところで奏が口を開いた。
「…明日も早いのよね?」
スープを啜りながら、奏が尋ねる。
スマホのスケジュールを確認すると朝7時に出るようになっていた。
「あぁ…。7時には出ないとか…。」
「ん、そうだよね。」
奏が一瞬目を伏せた。
どうしたのか。
「何か…あったか?」
「…我儘、思いついたの。」
「私、今日は寝たくない。」