第21章 我儘が聞きたい【煉獄】
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温かい湯船に浸かりながら、奏の我儘とは何だろうかと考える。
自分から我儘を言えと言っておきながら、何を言われるのかなど見当もつかなかった。
大抵の事なら受け入れるつもりだが…。
24時を回ってしまった今、ケーキを買ってこいと言われてもコンビニしかない。
ペットを飼いたい…?
ブランド物がほしい…?
「虎を飼いたいと言われたらどうしようか…。」
以前、デートで動物園に行った時に奏が大層虎を気に入っていたのを思い出す。
「…なんだろうか。」
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私はスープを温めながら考える。
我儘を考えるが、何も思い浮かばない。
「我儘…ねぇ。」
我儘を言わないようにしようとしている訳でも無い。
お願いしたいことは伝えているし、多分我儘にあたる事を言っているとも思う。
でも、杏寿郎が寛大なため、我儘と取られていないのかもしれない。
24日は忙しくて仕方ないと思っていたので、イブらしく過ごさなくてもと思っていた。
25日は結婚記念日でもあるため、頑張って午後から仕事は休みにしてくれているから、不満はない。
「我儘って…要するに、難しい事を強請る…ってことよね。」
「虎…?」
いやいや、それは自分も世話はしきれない。
明日、杏寿郎は午前中は仕事…。
朝もいつも通りなはず…。
という事は、今日は早く寝たい。
「ん!思いついた!!」