第20章 可愛いあなた 【不死川】❇︎
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「ん…」
目を覚ますと私にかかる暖かい布団。
あれ…私…。
起きあがろうとすると、ズンっとした痛みが下腹部に響く。
そして私は一糸纏わぬ姿。
「夢じゃ…ない?」
私、不死川さんと…本当に…?
「夢だったら困っちまうなァ…。」
声のする方を見れば不死川さんが、湯浴みを済ませてきたのか着流し姿で濡れた髪を拭いていた。
「あ、あの…不死川さ…」
「実弥…。そう呼べっつったろォ。」
「実弥…さん。」
「なんだァ?」
「私…貴方を好きで…いいんですか?」
「俺も好きだからなァ…。好きでいてくれねぇと、今度は俺だけ片想いになっちまうなァ。」
そう言って笑う不死川…実弥さんは、いつもの殺気は微塵もなくて、21歳の青年そのものだった。
「奏、お前週に一回は来てくれんだろォな?」
「え…い、いいんですか?」
「ったりめぇだァ。俺が会いてェ。」
そう抱きしめられるこの幸せが、信じられないくらい。
でも、この全身に感じる温かさが何より証拠。
「嬉しいっ…!私これから沢山たくさん愛しますねっ!!」
ぎゅっと抱きしめ返すと、実弥さんはビックリしている様子。
あ…あとこれ、ずっと言いたかった…
「ねぇ、実弥さん…。」
「ん?」
「お誕生日おめでとう…ございます。」
「…おま…」
実弥さんはポカンとした顔で私を見る。
「…そういうのは、始まる前に言うんだよ。」
そうして、私にとびきり甘い口付けを落とした。