第20章 可愛いあなた 【不死川】❇︎
「あ、誕生日の贈り物は何が良いです?」
「贈り物?んなのいらねえよォ。」
「え…」
私からのなんていらないってこと…?
そう思ったのが顔に出ていたのか、実弥さんは私の頭をそっと撫でる。
「ちげえよ。贈り物は、奏なんだろォ。
どうしてもって言うんなら…」
「俺を寝かしつけてくれェ。」
そう言って布団に潜っていく実弥さん。
「なんですか…その赤ちゃんみたいな可愛いお願い…。」
私は隣に失礼して、そっと実弥さんの頭を撫でる。
あ、そういえば弟たちはここを撫でるとすぐに寝たっけ。
私は頭を撫でていた手を、実弥さんの眉間に持っていき、そこを優しく撫でていく。
「どうですか?よくここを撫でると子供は眠くなるんですけど…。
大人じゃダメですかね…。」
ハハっと笑っていると実弥さんから返事がない。
え…本当に寝た?
「やーん、これで寝ちゃうとか可愛い…!」
ウキウキして寝顔を見ようと覗き込むと、ぱっちり開かれた双眼。
「んなんで寝るほどガキじゃねェんだよ。
…お前、俺を赤ん坊と一緒にしたなァ?」
ニッと上がる口角。
「じゃぁ、腹が減ったらお前の乳吸ったって文句言われねぇわけだァ?」
「や、ちが…!!」
「じゃぁ、望み通りに赤ん坊になってやらァ!!」
「いや———っ!!」
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それから私は1週間を無事に終え、
別の男性隠が任命された為、自宅へと戻った。
あ、ちなみに私に洗濯をさせなかったのは、血がついているのは私がショックを受けるだろうって言うのと、あと色々と恥ずかしかったみたい。
そして私は週に数回は実弥さんの屋敷に行っている。
実弥さんとの関係がバレたら妬まれるかな…。
そう思っていたけれど、
『あの風柱を手懐けた女』と崇められるようになったのは
実弥さんにはナイショの話。
〜fin〜