第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
「ん…ふ…」
「あ…んぁ…ま、て…」
俺が舌で奏の唇を舐めると、待ったがかかる。
「ん?嫌だったか…?」
「いえ…嫌じゃないけど…。その先になったら、変な気分になっちゃいそうで…」
何て可愛いのだろうか。
こんな事を言われて我慢できる男がどこにいる。
「そんな可愛い事を言われたら襲ってしまいそうだ。」
「でも…」
「しかし、そこまで俺も手が早くない。
君の気持ちは待つつもりだ。それに…」
俺は奏の耳元に囁く。
「流石にアレを持っていない。そこまで準備は良くなかった…」
この流れで準備されていないアレ。
さすがに奏もそれが何か分かったようで、顔を真っ赤にしている。
「だから、今日はそこまでしない。」
「…うん」
そう、大切に。
大切に。