第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
それからまた1週間、ほぼ毎日顔を合わせ、他愛のない話をする。
…が、奏の元気が無くなっていくのを感じた。
「おはようございます!」
「…おはようございます。」
その日はいつもの会話さえなく、俺の横を通り過ぎて行った。
…どうしたのか。
俺は授業中も、休憩中も考えていた。
そして、俺は残業をせずに帰る。
もちろん奏が心配だったからだ。
俺は奏をアパートの前で待つ。
すると、30分くらいした時、奏がやってきた。
奏は俺の姿を見ると、驚いた顔をする。
「ど、どうしたんですか?」
そう言って駆け寄ってくる奏。
「今朝の貴女の様子が気になって…。」
すると、奏はぶわっと涙を溢れさせた。
「うう…ありがとうございます。
私、1人じゃ怖くて…。」
「俺でよければ話を聞きましょう。」
そして、奏は俺を部屋に招いてくれた。
・・・・・・・・
「ストーカー…か。」
「はい…」
「最近、玄関に紙が挟まっていたり、知らない番号から着信があったり、後ろからもつけられてるような…」
何…
後ろからつけられてる?
悪いが、ストーカーは俺じゃない。
こんなに彼女は怯えている。
あぁ、かわいそうに…。
「じゃぁ、俺が君を守ろう。」
「…へ?」
「迷惑だろうか?」
「迷惑だなんて…そんな…」
「奏さん、会って間もないけれど
俺は君が好きだ。とても惹かれている。
だから、君をずっと守らせて欲しい。」
奏は目を見開いた。
それもそうだろう。
ストーカーの相談をしたら告白されるのだから。
「私で、いいんですか?」
「貴女がいい。」
すると、ポロポロと涙を流す奏。
「嬉しいです。私も煉獄さんに惹かれています。」
「では、付き合ってくれますか?」
「…はい。よろしくお願いします。」
俺は奏の頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近づけた。
君はそっと目を閉じて、俺の唇を待っているのだろう。
お望みとあらば…
ちゅっ…
触れるだけ…
では飽き足らず。
俺は何度も啄むように口付ける。