第20章 可愛いあなた 【不死川】❇︎
不死川さんの屋敷で雑用係になって5日目。
流石にもう慣れてきた。
あと2日で終わっちゃうんだな…。
そんなことを思っていると、
ガタッと大きな音がした。
「不死川様…?」
不死川さんは明け方…明るくなった頃に帰ってきた。
出迎えはしないように言われているから、
私は部屋の中から帰って来たんだと悟る。
お湯は沸かしてあるし、
軽食も用意している。
いつもなら「うめェ…」って言いながら食べてくれるのだ。
その後湯浴みをして、少し眠る。
今日もそうなんだと思っていたが、
いつもよりも足取りが重いようだ。
カタンと皿の音がするから食べてくれているはず。
でも、湯浴みをする事はなく、そのまま自室に入って行った…。
・・・・・。
それから今に至るわけだが、なんだか様子がおかしい。
寝ているんだと思ったけれど、今の物音…。
私は不死川さんの様子を見てみることにした。
「不死川様、入ってもよろしいでしょうか…?」
「………。」
「不死川様…、失礼致します。」
そっと襖を開けて中を覗いてみると…布団に入らず、
入り口すぐで、うつ伏せに倒れている不死川さんを見つける。
「!!!不死川様…⁉︎」
すぐに駆け寄り身体を揺すると
すー、すー、と寝息が聞こえる。
ほ…
良かった…。
寝てるだけか。
でも、こんなになるなんて珍しい。
隊服も脱がず、湯浴みもせず、ばたりと倒れたように眠るなんて。
「…お疲れなのね。」
私は何とか不死川さんを仰向けにし、脇の下に手を入れてズルズルと布団まで連れて行った。
不死川さんの枕を差し込もうと頭を起こすと
「うー…」
「え…?」
不死川さんはまさかや私の膝の上に頭を置いてしまった。