第20章 可愛いあなた 【不死川】❇︎
私の仕事は、本当に翌日の朝から始まった。
食事の準備、掃除、文の管理…。
そして裁縫。
しかし、洗濯だけはさせてもらえなかった。
どれだけ帰りが明け方だろうが、疲れていようが
絶対に私にはやらせなかった。
不死川さんとの生活はなんの不自由もなく、
粗く扱われるかと思っていたのに、
寧ろ私への扱いは丁寧なものだった。
(思ってたのと違うな…)
本当はこの恋心も終わりを迎えるべきなのだと思って
この任に当たっていた。
酷く扱われれば私だって冷める。
そうして、柱とただの一般隊士の感情になる。
でも…
「寒いだろォ。これ掛けてろ。」
「任務か…。気をつけて行ってこい。怪我したらすぐに言えよォ。」
「西ノ宮の飯、美味いな…」
そんな風に優しくされていたら、
恋心が冷めるどころか…
「もっと好きになっちゃったじゃない…。」
知りたくなかった。
こんな優しいなんて。
こんなに思いやりがあるなんて。
こんなに一緒にいて楽しいなんて。