第20章 可愛いあなた 【不死川】❇︎
そんな風柱に恋心を寄せる私が、何故風柱の雑用係に嫌な顔をしているのか。
しかも、住み込みでという機会なのに。
それはその住み込みだからである。
憧れに近いこの恋心。
それはまだ助けてもらった時と、任務が一緒になった時にしか会っていないため、任務の事以外話したこともない。
所謂、カッコいいところしか知らないのだ。
それが住み込みということは、全てが見えてしまうということ。
食べ方が汚かったら…
生活態度が最悪だったら…
めちゃくちゃ怖かったら…
自分は好きなままでいられるのだろうか。
苦しくも楽しかった片想いが、突然強制的に終わらされそうで怖かったのだ。
「あーぁ。嬉しいはずなのに、気乗りしないんだよなー。任務で夫婦役とか、そっちでお近づきになりたかったなぁ。」
同じ屋敷にいると言っても、何の情もないただの雑用係。
万が一の甘い雰囲気になど、微塵も考えられない。
はぁ、とため息をつきながら荷造りを済ませ、明日からの雑用係に向けて早めに眠る事にした。
「おやすみなさい。いい夢を。」