第19章 番(つがい)
「大変だよ!変なバケモンが外で暴れ回っているんだ!!涼風、アンタだけでも逃げな!!」
女将さんがそう言うや否や。
ドォォン!!と轟音が響き渡り、建物はグラグラと揺れた。
窓の外を見ると、何人かの人間。
そして、蛇のようにウネウネと動く帯を操る得体の知れない女。
「大変!早く奥へ…!」
涼風花魁は私を抱えて部屋の奥に逃げ込もうとする。
「涼風!後ろ!!」
女将さんがそう叫ぶと、涼風花魁のすぐ後ろ…
窓の外から大きな男が飛ばされてきた。
ドゴォ、ガシャン!!!
「あっ!奏!!!」
その衝撃で、涼風花魁は私を手放してしまった。
「涼風花魁、逃げて!!」
そう声を上げながら宙を舞う体、飛ばされながら倒れ込む男を見ると、
顔の横に光る派手な装飾品。
(…あれは…)
あれは"彼"と同じものだ。
あの人は彼の主という事だろうか。
彼は近くにいるのか。
怪我などないだろうか。
そんなことを考える間もなく
私を囲った格子ごと物騒な破壊音が鳴り響く
暗闇へと落ちていく———
ガシッ!!
「!!!!」
「ったく、これだからカゴに入ったお嬢様は…!!」