第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
「ご馳走様でした!とても美味しかった!」
「よかったです!今回は本当にありがとうございました!」
俺と奏は食事を済ませ、駅まで歩いている。
村田はまた奏と話そうとしていたが、電車が…と躱すことができた。
「煉獄さんは何番ホームですか?」
「俺は1番ホームだな…!」
「私は2番ホームなんで、ここでお別れですね。」
奏は少し寂しそうな目をする。
そんな目を見てしまっては、俺は期待をしてしまう。
「奏さん、家まで送らせてくれないか?」
「え、いや…悪いですし…」
「このまま返したら無事だったか心配だ。
それならば自分の目で見て確認したい。」
奏は頬を赤らめてふふっと笑った。
「…わかりました。では、お願いします。」
既に知っている奏のアパートに向かう。
奏の案内で一応知らないふりして歩く。
「ここです」
「意外と近くにいたのだな!」
…知っていたがな。
「ありがとうございました。」
「無事に届けられて良かった。…あの、また会ってくれますか?」
「え、いいんですか?」
ぱっと明るい表情になる奏。
…これはイケるな。
そう俺は確信した。
奏と名残り惜しいが別れて1人帰路につく。
今日の君も可憐だった…。
素敵だった…。
早くこの腕で抱きしめたい。