第17章 レッツ ポッキー!
「何…って…したことないんですか?」
「む?ポッキーは知っている!チョコレートのかかったあれだろう?」
奏な揶揄われているのかと思ったが、煉獄の顔は嘘を言ったり冗談である様子もない。
「ポッキーゲームって、あれですよ?ポッキーを2人で端を咥えてだんだん近づいていくやつ…」
「それの何が楽しいんだ!」
「本気で言ってます?むしろ先生達の方が世代ですよね⁉︎やったことないなんて…!!その顔で⁉︎」
「むぅ!顔は関係ないだろう!!」
伊之助が知らないのは百歩譲って頷ける。
(山育ちだから…←失礼)
なのに、この煉獄杏寿郎も知らないなんて…。
端正な顔立ち…きっと何人もの女性と、うふんあはんとやってきたに違いないのに…。
「信じられない…。男女でやって近づいていってキスしちゃったらどうしようって楽しむゲーム…やったことないなんて。」
1人でぶつぶつ呟いていると、ハッ!とある答えに行き着いた。
「先生って、まさか…童t…!!!」
心の中で留めておこうと思っていたのに、つい声に出してしまったことに気づき、慌てて口を押さえる。
慌てて煉獄の方を見ると、笑顔でいるがピキピキと引き攣り始めるのが分かった。
「ほう、そんなにポッキーゲームをしたことがないだけで驚かれてしまうなんて、よもやよもやだ。」
煉獄は立ち上がり奏の腕を引いた。
バランスを崩した奏は煉獄の座っていた椅子に倒れる様に座る。
煉獄の生温さがスカートから晒された太ももに感じられる。
「ポッキーゲームをしたことがないと、馬鹿にされてしまっては教師として不甲斐なし。」
杏寿郎は奏の胸ポケットからポッキーを1本取る。
これが最後の一本。
「ちょうどいいところにポッキーもある。」
煉獄は不敵に笑い、ポッキーを奏に咥えさせる。
驚きのあまり、奏は声も出ず、ただいつも見ない煉獄の表情に釘付けになっていた。
「はじめてのポッキーゲームに付き合ってくれ。」
ギッと音を立てて、煉獄の両手が奏を挟む様に後ろの机に付かれる。
カリッ、カリッとゆっくり短くなっていくポッキー。
そして、奏の唇に煉獄の唇がつくか付かぬか…のところで、パキンと折られた。