第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
カチャカチャと、ベルトを外す音がする。
性急にズボンと下着を脱ぎ去れば、何度身体を重ねても目のやり場に困る。
ふいっと目線を逸らすが、私を組み敷けば太腿やお腹にぶつかって嫌でも主張されるソレ。
私がいつものように触ろうとすると、天元はそれを止めた。
「…奏、今日はほんと余裕ねぇ。もう…挿れたい。」
天元の体力は計り知れない。
私が気を失ったりしないように、いつも手や口でしてから挿れるのだが、今日はそれを省きたいと申し出がある。
「…で、でも…」
「大丈夫、ちゃんと優しくすっから。」
コク、と頷けば、良い子だと言わんばかりの笑顔を見せ私の頭を撫でる。
「すぐにでも子供は欲しい所だが……今できたらドレス着れなくなっちまうもんな。」
そう、あと半年後に結婚式を控えている。
いまお腹が大きくなればドレスどころではなくなる。
「ん…」
ピリッと封を切り、慣れた手つきで避妊具を付けると、また熱のこもった表情にガラリと変える。
ほんと、この切り替え凄い…。
そんな私もその表情にやられて、数回先で秘部を往復されれば甘い声を上げる。
「痛かったら言えよ?」
「あっ…」
グッと押し当てられれば、解してあるとはいえ圧迫感が襲いくる。
それでも愛しい人の愛を飲み込もうと、身体も唸るのだから不思議だ。
何度か抜き差しをゆっくり繰り返しながら、漸く全てを飲み込むことができた。
毎回、達しはしないが入りきった時にはチカチカと星が散る。
「はぁっ…ふぅー…」
大きく息を吐いて、天元と私の準備が整うと、ゆっくりと律動が始まる。
天元の動きに合わせて聞こえてくるのは、グチュ…という音と、私の息を吐くような喘ぎ。
そして天元の熱い呼吸。
それは次第に速さを増し、加えてパン…と湿り気を帯びた肌のぶつかる音がする。
「奏、愛してる…!」
「はぁっ…あん…わた、し…もっ」
その合間合間に紡がれる愛の言葉。
「てん…も、だめっ…」
「俺も…うっ…」
「あぁっ————」
「ふっ————」
奏の一際上擦った声と、天元のくぐもった声が部屋に響いた。