第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
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「しかし、宇髄はいつの間に家に連絡を入れていたんだ?」
「そうよね!私ずっと一緒だったけど、そんな素振りなかったのに。」
「宇髄先生は忍者みたいな人なので、気付かれぬうちに連絡したんでしょうか。」
宇髄宅を出てから、ふと疑問を呟く。
その会話にはぁ…としのぶはため息をついた。
「宇髄さんは知らせていませんよ。」
「え…でもご馳走が…」
「あれは私たちではなく、今日お誕生日の宇髄さんのために作られたご馳走だったんです。」
『えぇっ!!!』
しのぶの言葉に目を丸くする一同。
「む!宇髄は今日誕生日だったのか!!おめでとうも言っていないが!!」
「はぁ⁉︎知らなかったとはいえ、それはヤベェだろォ!!」
「そうです。だからいち早く撤収したんです。」
誕生日を把握していなかったとはいえ、愛する人の誕生日を祝うはずが、大勢の相手をさせられたとなれば奏が気の毒だ。
「今度奏ちゃんに謝らないと…」
「宇髄にしては珍しいな…。祝い事が好きなのに、自分の誕生日を忘れるとは…。」
『確かに。』