第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
パンパン!!
しのぶちゃんが手を叩くと、一斉に注目が集まる。
「撤収です!撤収!!明日は月曜日です!」
「む!そうだった、学校に行ったから忘れていたが今日は日曜か!!」
「うわー。ダリィこと思い出させんなよォ。」
ブツブツと言いながら、片付けを始める面々。
さすが教師達。
お酒が入っていようと、片付けまでしてくれるとは。
「まじかよー、未成年はしゃーねーとして、大人はもう少し飲んでいけば?」
只今の時刻21時半。
22時以降の外出は未成年は禁止である。
天元は残念そうにボヤいているが、しのぶちゃんが振り返り、天元に鬼の形相を向ける。
「宇髄さんは、冷蔵庫を開けて今日がなんの日か、よーく思い出してくださいね。」
その言葉に「冷蔵庫?」と首を傾げる天元。
あぁ、しのぶちゃんはだから分かってくれたんだ。
「では、とても美味い料理をありがとう!!」
「急に押しかけてすみませんでしたぁ!でも、とっても美味しかったし、楽しかったですっ!」
みんながぞろぞろと帰っていく。
「お構いできなくて…、また今度来てくださいね!」
最初はどういうことかと思ったが、楽しかったのは事実。
今度はぜひ事前に知らせてから来てください!っていうのが本音。
賑やかだった空間が、急にしん…と静まり返る。
天元は手に持っていたグラスに入ったお酒を飲み干し、立ち上がった。
「急に大勢で押しかけて悪かったな。でも、料理作ってくれて助かった。どれも美味かったよ。」
通り様に私のおでこにチュッとキスをして、冷蔵庫に向かう。
きっとしのぶちゃんに言われたことを確認するのだろう。
「しっかし、連絡なしでよくあんなに料理が…」
ガチャ…
「あ…」
天元の目の前にあったのは
happy birthday
と書かれた誕生日ケーキ。