第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
わいわいガヤガヤと食事が進んでいく。
天元もみんなと一緒で楽しそうだ。
私も蜜璃ちゃん、しのぶちゃん、禰󠄀豆子ちゃん、カナエさんにカナヲちゃんたちと仲良くなった。
本当は2人きりでお誕生日をお祝いして、ケーキを食べて…。
いい雰囲気になったら…。
って予定だったけど。
ま、いっか。
「奏さん、ドレッシングをもらえないかしら?」
そんなことを考えていたら、しのぶちゃんの声で我に帰る。
「あ、なくなっちゃった?冷蔵庫のポケットに多分…」
「分かりました、見てみますね。」
ガチャ…と冷蔵庫を開けてみるしのぶちゃんは、開けたまま動かなくなった。
「?しのぶちゃん?なかったかな?」
私の声に反応して、「いえ、ありました」と微笑んだ。
そして、その笑顔のまま私に近づいてくる。
え、何?
何か悪いことした?
すると、しのぶちゃんが私の肩をガシッと掴んで、笑顔のまま問いかける。
「奏さん、このご馳走って…他に目的がありましたね?」
「え…あ、まぁ…」
「宇髄さんの誕生日とか?」
「今日…そうだけど…。」
苦笑しながら答えると、はぁ…とため息をつき頭を下げた。
「本当にごめんなさい!私たち、学校でハロウィンパーティーがあって、その足で宇髄さんがうちで飲もうって持ち出してくれたから来たんです。」
「だから、奏さんも知っていてこんなに用意してくれていたんだって思ってたんですけど…」
そういうことだったのか。
「はぁ、本当にごめんなさい。大切な日なのに…。」
「いいの、気にしないで!まだ今日は時間もあるし!」
「いいえ!明日は月曜日です!時間も限られています!」