第16章 trick or treat ❇︎【宇髄】
ピンポーン…と呼び鈴が鳴り、
ガチャンと鍵が開く。
間違いなく彼である。
「おかえ…え⁉︎」
『trick or treat!!』
そう言って入ってきたのは、オレンジ色のカボチャカボチャカボチャカボチャカボチ…
「なななな何⁉︎」
この展開に驚くばかり。
そして、一番最後に入ってきたのは、こちらもカボチャ⁉︎
「おー、ただいまぁ!」
「お、おかえり…。あの…これは?」
とりあえずこの状況を教えてほしい。
カボチャに扮した大人たちがぎゅうぎゅうと玄関でひしめき合うこの状況を。
「と、とりあえず、中にどうぞ?」
『お邪魔します!』
私たちは結婚を見据え、家族も増えるだろうと少し広いマンションに引っ越しをした。
だから、そんなに狭くはない…はずなんだけど。
なんか、14人くらい来たので、流石にちょっと狭いかも…。
「うぉー!すげぇ!ご馳走がいっぱいだぜぇ!!」
テーブルには誕生日を祝うための料理が並んでいた。
本当は愛する人のために作ったのだが、お客様に見られた以上、出さないわけにはいかないだろう。
「よ、よかったら召し上がってください。お口に合うか…。」
皿と箸を用意して、軽くビュッフェスタイルにしてもらった。