第15章 猫とまたたび 【煉獄】
彼女は間違いなく、俺にそう言った。
女将はニコニコと俺たちを見ていた。
「そうか…。それは嬉しいな。」
「では、これからは一緒に…」
居られるのだな。
…そう言おうとした時、彼女はゆっくり首を振った。
「それは、できません。」
「…なぜだ?」
俺が問いかけると、彼女は今までにないほどの可憐な微笑みを浮かべた。
それは、とても神秘的でもう2度と忘れることができないほどの美しい笑顔だった。
その笑顔を見ていると、何故か体は軽くなり
目を閉じないといられないような、睡魔に近いような感覚がやってくる。
俺はその感覚に抗うことは許されず、瞬きをするようにそっと目を閉じた。
そして、そこからの記憶はなかった。