第15章 猫とまたたび 【煉獄】
ーーーーーーーー
「煉獄様、今日は暖かい日ですねぇ。」
「あぁ、日向ぼっこをするにはちょうど良い日だ!」
藤の家紋の家の縁側。
俺と彼女は日向ぼっこをしている。
ただ、ふとおかしく思うのは彼女の距離感。
初めは、ピッタリと俺の左側にくっついて座った。
それでも近いと思ったが、嫌ではなかった。
そう気を許していたのがいけなかったのか。
彼女は今
俺の膝に横抱きのように座っている。
彼女に会いに来るようになって、もう二桁になるだろう。
「奏さん、これは些かいけない気がするが…」
「大丈夫ですよ。誰も見ていませんから。」
「そういうものでは…」
ない気がするが…。
彼女の大胆すぎる行動に、翻弄されるばかりだ。
それを受け入れている自分にも笑いが込み上げてくるが、
そうさせてしまうのは、俺はきっと
彼女のことが"好き''なんだと思う。
触れられたところは暖かく心地よい。
俺の膝で眠る君の髪を撫でれば、幸せを感じる。
恋人ができたら、こんな生活があるのか。
毎日殺伐としている生活。
それは当たり前になっていたし、強く生まれたものの責務だと思っていた。
しかし、この穏やかな生活を送っていると…
少しいけない考えが浮かぶ。