第15章 猫とまたたび 【煉獄】
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「ということなんだが…。」
「左様でございますか。そうですね、こちらの可愛らしい御方がいると、隊士の皆様も癒されることでしょう。
こちらでお預かり致しましょう。」
俺の管轄内にある、藤の家紋の家に彼女を置いてくれないかと頼むと、そこの女将は快く承諾してくれた。
彼女も安心したように喜んでいたので、たまに俺は様子を見に来ると伝え、その日はそこを後にする。
だが困ったことに、頭から彼女が離れなくなってしまっていた。
こんな感覚は初めてで、俺は珍しく動揺してしまい、どうして良いか分からなかった。
(私用を挟むな。命がかかっているんだ…。)
鬼殺に私用を挟んだことなどない。
いつだって、弱き人を助けるために、俺は盾になる覚悟もできている。
そう思っていたのに…。