第15章 猫とまたたび 【煉獄】
「して、君の名は?」
「奏といいます。」
「そうか!俺は煉獄杏寿郎だ!」
今、2人は団子屋にいる。
高鳴る鼓動を治めるためにも、距離感の近い彼女を落ち着かせるためにも、甘いものを摂りたかった。
団子を頬張りながらいろんなことを話した。
彼女の家はあの林の奥にあり、残念ながらあの晩に出た鬼に壊されてしまったらしい。
両親とは幼い頃に別れてしまい、身寄りのない彼女は宿を転々としていると言っていた。
(あの林の奥…家があったとは、気づかなかったな…。)
俺は身寄りがないのなら、煉獄家に住んだら良いと思った。
口からその言葉が出そうになったところで思い止まる。
(男しかいない家での生活は嫌だろう…。)
どうにかならんものかと頭を悩ませると、ピンと閃く。
…藤の家紋の家ならどうだろうか。
あそこで住み込みなどしてもらえれば、きっと衣食住に苦労ないだろう。
「俺に良い案があるのだが!!」