第15章 猫とまたたび 【煉獄】
「ふふ。面白いですね。私が妖だったらどうします?」
そう言う彼女はスッと離れて、俺をじっと見つめた。
「いや、失礼な事を言ってすまない。しかし、こんなに積極的な女性は初めてだったのでな。少しばかり…いや、だいぶ驚いてしまった。」
正直な感想を伝えると、彼女は急にブワッと顔を赤らめた。
俺はおかしな話だがその様子を見て、彼女にも血が通っていると安心した。
「その…、どういうわけかは知らないが、急に人に擦り寄るのと、匂いを嗅ぐのはやめた方がいい。君のような可憐な人にそうされたら変な気を起こす奴もいるだろう。」
俺は彼女に注意を促す。
こんな事をして襲われでもしたら大変だ。
癖か?人懐こいのは愛されるのかもしれないが…
「そ、それは…あなただからでございます。」
「む?」
あなただから…
どういう事だろうか。
そんな言い方をされると、彼女にとって俺が特別…
とでも言っているようじゃないか。
俺の心臓は柄にもなく、彼女の言葉によってバックバック…と大きな音を立て始めた。