第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
互いの番号を教え合い、連絡先を入手した。
こればかりは知り合いがいない俺にはなかなか手に入りづらい代物だった。
ようやく手に入れた。
俺は自分の主に使っているスマホと、最近購入したもう一台のスマホに奏の番号を登録する。
メッセージアプリでの連絡も取り合った。
友達登録を済ませると、早速奏からのメッセージが届く。
『今日はお疲れ様でした。
お食事の件ですが、都合のいい日を教えてください。
私は平日は18時には出れるのでそれ以降なら。
土日は余裕を持って18時半以降なら大丈夫です。
水曜日は休館日なので、その曜日は何時でも大丈夫です。』
こんなに事細かに自分のシフトを教えてくれる。
俺以外にもこんなに情報を与えているのか?
危機感の足りない奏にヤキモキするが、ここは落ち着いて
『そちらもお疲れ様!
俺は平日は19時以降なら大丈夫ですが、きっと待たせてしまうので、土曜の18時半に資料館前の公園で待ち合わせるのはどうでしょう?部活も17時までなので、ちょうどいいかと思います。』
と返す。
しばらくして、『では土曜の18時半に!何を食べたいか考えていてくださいね。』と送られてきた。
『楽しみにしています』と返して、どこに行こうか考える。
こんなに心浮かれるのは、いつぶりだろうか。
仕事中も浮き立っていたようで、同僚の美術教師の宇髄に気味悪がられた。
「もしかして、噂の美人か?
その様子じゃ、デートでもこじつけたのか。」
鋭い男だ。
「あぁ、手に入れたい相手が見つかったんだ。
これは運命としか言えないだろうな!」
そう言う俺を少し憐れみながら
「お前、独占欲強そうだから派手に拗らせんなよー?
捕まったら笑えねぇぜ。」
む、失礼な。
捕まるようなヘマをするはずがないだろう。
やるなら上手くやるさ。