第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
そして、課外授業当日。
冒頭に戻る。
…ということで奏が着ている赤色のカーディガンが俺の贈ったものなわけで。
俺の心は満ち足りていた。
やはり君の白い肌にも赤がよく似合う。
俺は奏の解説半分、自分の好きな色を纏った君を視姦する。
あぁ、本当は今すぐにその服は俺が贈ったものだ。
そして誰にも見せたくないが、よく似合っているだろうと自慢したくなる。
奏も俺の熱い視線に気づいているのか、何度も目が合う。
ふっと微笑めば、顔を赤くするのが愛らしい。
…しかし、生徒にも見られてしまうのが癪だが。
課外授業も無事に終わり、質問コーナーとなった。
初めのうちは授業に関係するものだったが、高校生たちの興味は赤いカーディガンの美女に集まる。
「彼氏いますかー?」
「どんな人がタイプですかー?」
そんな質問が飛び交うようになったので、俺は咳払いをする。
「こらこら、西ノ宮さんを困らせるんじゃない。
さて、皆の質問も尽きたようなので、次の授業までのレポートも大丈夫そうだな!!」
俺がそう言うと、えーっ!とブーイングが起こる。
それを俺と奏は顔を見合わせ笑い、資料館を後にすることにした。
今日はこの授業が最後の単元。
なので生徒達は現地解散で帰っていく。
俺は事務所に行き、奏にお礼の挨拶をしていた。
「大変分かりやすい解説でした!
生徒達も目を輝かせていた!ありがとうございます!」
「とても良い子達でしたね。あんなに質問が来たのは初めてですよ。大体は特にありません、で、早く終わらせようとしますから。」
そう言って君はまた花を咲かせたように笑う。
もう、君を想わずにはいられない。
すると、「あの…」と、顔を赤らめた奏が口を吃らせる。
「ん?」
「このカーディガン、ありがとうございました。
その、お礼をさせていただけませんか?
お、お食事…か何かでも…。」
これは夢だろうか。
君から誘ってくれるだなんて。
「お礼には及びません。
…ですが、お食事のお誘いは聞き捨てなりませんね。
ぜひ、ご一緒したいです。」
断るわけがないだろう。
もうこんなに想っているのに。