第14章 存在を 【煉獄】
「んもぅ、紛らわしい…。鬼滅の煉獄さんは杏寿郎とまるっきり一緒だから、どっちもいい人すぎる!」
私が頬を膨らませながら、さらにギュッとぬいぐるみを抱きしめると、「お風呂が沸きました♪」とお知らせが入る。
「ほらほら、風呂が沸いた。
目元も温めてきなさい。少し楽になると思うぞ。」
「ん…行ってくる…ありがと。」
杏寿郎に促されるまま、お風呂へと向かう。
「…はぁー…」
湯船に浸かりながら、温まった手を両目に当てる。
お風呂あがりには冷やそう。
そう思いながら、ゆっくり浸かり、髪や身体を洗っていると落ち着いてきた。
…気がする。
また杏寿郎を見たら泣いちゃうかもしれないけど。
十分ゆっくりしてお風呂から上がり、着替えを済ませてリビングに行くと、杏寿郎がTVを見て待っていた。
「む、上がったか!アイスがあるぞ!どれがいい?」
テーブルを見ると、ハー○ンダッツ。
しかも種類が豊富。
「え?何、こんなにウチにあった?」
「今日はこうなると思って俺が帰りに買ってきた!」
「俺の予想では君は2種類で迷うと思っている。」
流石でございます、杏寿郎様!
何…?私の思考が読めるだと?
「へぇ…じゃぁ、私がどれにするか当ててみてよ。」
「うむ!では絞っていくとしよう。じゃぁ、どれにするか心の中で決めてくれ。」
んー。
よし、決めた。
今日は泣いてサッパリしたいから、このマンゴーとパッションフルーツのやつにする。
「決まった!」
杏寿郎は、私の顔をじっと見つめる。
目の前の杏寿郎は炎の呼吸とか使えないはずだけど、この目力だ。
なんでも見透かされそう。
…いや、ほんとに炎の呼吸、習得してるかも。
「バニラ…ではないな。抹茶でもない。」
これも違う、これも違うと色々冷凍庫に戻されていく。
私の表情を見ながら、選んで最後の2つにまで絞れた。
「このどちらかだと読んでいる。ここにあるか?」
残されたのはストロベリーと、マンゴーとパッションフルーツ。
う…本当に私が最後まで悩んだ2つが残った。
「へぇ。…ん、ここに確かに選んだのあるよ。」
「ふむ。」
じーっと、私の目を見る杏寿郎。