第13章 鳥籠の鳥 2 ❇︎ 【煉獄】
午前5時。
杏寿郎は奏を起こし、ホテルを出た。
流石に生徒に見られてはまずいので、誰にも会わない時間に移動する。
始発が動く時間でよかった。
それから一度家に帰り、また少し仮眠して
身支度と朝食を済ませ、2人で駅に向かう。
手を繋いで。
私は気になる事を聞いてみた。
「まさか、生徒にあんな風に思ってたり…?」
「しない!断じてない!第一、俺の学校の制服はセーラー服ではないしな!
それに君以上に俺を欲情させる人なんていない…。」
最後の一言をぽそっと囁かれ、赤面してしまう。
「てっきりセーラー服が好きとか、そういう嗜好かと思った…。」
「いや、君が言ったのが教室のようだったから、セーラー服にしたが、他の部屋ならナースとか…浴衣とか…」
「もももももういいです!」
あぁっ!聞かなきゃ良かった!
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「ボイスレコーダーは大丈夫か?」
「はいっ」
「他の男には?」
「ついていきません。」
子供の確認のような別れ前。
しかし、新たな儀式が追加された。
杏寿郎は奏をふわりと抱きしめる。
側から見れば仲の良すぎるカップル。
それに違いはないのだが、
スンスンと鼻を鳴らす2人。
「匂いは覚えたか?」
「覚えました!」
「君を一番愛しているのは?」
「杏寿郎さん。」
互いの耳の後ろを嗅ぎ合う2人。
一般的には、異常な愛情だと思うが…。
2人が幸せなら、良しとしよう。
「うむ、今回は多めにみるとして…。
閉じ込めるのは延期にしておこう。」
「…?何か言いました?」
「いや、なんでもない。
いつ見ても君は俺の中で一番だと思っただけだ!」
『それじゃ、お互い気をつけて。行ってきます!』