第13章 鳥籠の鳥 2 ❇︎ 【煉獄】
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奏が本当にあの男を選んだというのか?
俺は信じたくは無いが、そうなのだとしたら確信を持ちたかった。
血の気の引いた身体をなんとか動かし、2人の後をついていく。
すると、目の前に現れた建物は
「ラブホテル…」
ああ…、終わった。
これは…なんだ?
やっぱり、彼女を一時でも1人にするべきじゃなかったのか…。
彼女を、易々と他の男に取られるなどあってはならない。
まずは彼女をあの男から奪い、閉じ込めておかなくては…。
あの男はどうする?奏の前には二度と出てこれないようにしなくては…。
だが、彼女の口から直接訳を聞きたい。
俺はこんなにも、君を想っているのに。
どうしてこうなってしまったのか…。
「や、やめてください!!」
ぼーっとしていると、奏の声が耳に届く。
ハッとして彼女を見ると、身体を捩らせながら男から逃げるように抵抗していた。
男はわーわーと騒ぎ
彼女の手首を掴む男の手に力が入る。
「やめろ…、彼女に乱暴するな…!!」
俺は駆け出し、男の手を捻りあげる。
「いでででで!!」
これは彼女の本心では無いと悟った俺は、
男から彼女を救わなければと思った。
しかし、男を見る限り彼女の好みでは無い気がする。
どうしてこの男に関わってしまったんだ?
そう思っていると、彼から香る香水の匂い。
あぁ。なるほど。