第13章 鳥籠の鳥 2 ❇︎ 【煉獄】
「ね?休憩くらいならいいでしょ?
お姉さん疲れてるみたいだし、なんか物欲しそうな顔してるし。」
…私は男の声が耳元で聞こえてハッとした。
すぐ隣の男を見る。
私の肩にまわされた腕、少し強引に歩かせるようにしてくる。
休憩?何のこと?
ってかこの人誰?
そう思いながら嫌々連れられてきたところは…
ラブホ…⁉︎
ちょ、ちょっと待って!!
血迷ってもこの人と入る気はない!!
わたしには杏寿郎さんがいて…第一この人タイプじゃない!!!
「や、やめてください!!私、ぼーっとしちゃってただけで、そんなつもりはさらさら…」
「…はぁ?」
全力で拒否の姿勢を貫こうとした時、男の態度が豹変した。
「お前が誘ってきたんだろうが!物差しそうな顔しながらついてきやがって。そんでここまできて、そんなつもりありません?
笑わせんじゃねぇぞ?お前の彼氏だか旦那だかより俺の方が満足させてやるよ!!」
急に罵られる。
私は何のことだか分からなかった。
もしかしたら私は何か彼を誘うようなことをしたのかもしれない。
でも、今は全力で拒否したい。
杏寿郎さんに抱かれないからといって、誰でもいいわけではない。
「うっ…ごめんなさい、許して…」
怖くなって泣き出す私に、怪しい笑みを浮かべる男。
「いいねぇ。もっと泣かせてやろうか。許してやるよ、ヤらせてくれたらな…!!」
ぐいっと手首を掴まれ、ホテルの入り口に引っ張り込まれそうになった時、「いでででで!!!」と男の声がした。
そして、私の肩には男の腕とは比べ物にならないくらい逞しく、優しい温もり。
「すまないな、俺の彼女が迷惑をかけたようだ。」