第12章 恋に変わるまで 【村田】
そう思いながら、奏の挫いた足を治療してやろうと奏の前にしゃがみ込む。
すると、村田の両手をぎゅっと握られた。
「⁉︎」
目を見開いて驚いていると、頬を赤くした可愛らしいクリッとした目が覗く。
「村田さん!私を身を挺して護ってくださりありがとうございます!あの…かっこよかったです!!」
「へ?」
今、俺をかっこいいって?
冨岡のことじゃなくて?
「いや、いやいやいや!今鬼を斬ったのは、冨岡であって!
俺は何もできなくてっ!運が良かっただけでっ!」
「いいえ!やっぱり村田さんはお強い方でした!」
きらきらした目で、見つめられるとこれ以上違うだなんて言えない…
「と」
「当然のことをしたまでっすよー!」
あははと開き直る村田。
気を取り直して奏の足に手持ちの痛み止めと、包帯で固定をする。
「手際もいいんですね。」
「まぁ、慣れてるから。この仕事は怪我が付き物だし。」
「あ、あのっ」
「ん?」
「昼間は…すみませんでした。」
昼間…きっと急に怒りだした時のことだろう。
「あぁ。大丈夫だよ。」
「でも、どうしてあんなに怒ったの?あと、何か言いかけてただろ?」
「……。」
黙り込む奏。
「あ、ごめんな。」
「…から。」
「村田さんが、自分は強くないって…」
「強くいてくれないと…お団子、食べに来てくれないじゃないですか。」
店に来る客が減ってしまうということか?
「あはは、大丈夫だよ。この店の団子は美味しいから、俺が来なくても繁盛するって!」
「違いますっ!そうじゃ…そうじゃなくて。
来てくれないと、村田さんに会えないじゃないですか。」
「そんな…さみしい。」
奏からそんな言葉を聞くとは思っていなかった村田は、動揺して状況が把握できない。
「それは、つまり、奏ちゃん俺のこと好き⁉︎」
「すっ、好きかは…まだ…」
「えっ、あっ、そっか。」.
世の中そんなに甘くはなかった。
しかし、今の自分には可能性があるのでは⁉︎
そう思った村田は決意する。
「あ、あのさ、俺実はずっと奏ちゃんのこと
す…好きだったんだ。」
ついに、ついに言ってしまった…!!
村田は恐る恐る奏の顔を見る。