第12章 恋に変わるまで 【村田】
そんなことを考えて、奏の方を見てみると
なぜか怒った顔の奏。
「村田さん!そんなことを言っても始まりませんよ!
もし、力が足りないと思うなら、もっと力をつけてください!
生き抜くために!!じゃないと…っ」
そこまで言って止まる。
「わ、私はこれで失礼しますっ!」
奏はそう言い捨てて店の奥に入っていってしまった。
「え…あ…」
村田の伸ばした手は空を切る。
(お、終わった…)
落ち込む村田は自分の心のように冷たくなった茶を啜る。
会計をしようとすると、店主が出てきて代金を受け取った。
「悪いね、奏も難しい年頃でな。」
どよーん…という効果音が村田に付き纏う。
夜までその空気は漂い
仲のいい竹内が村田を心配する。
「おい、大丈夫か?そんなままだと、今日こそ命がなくなるぞ!」
「どうせ、俺みたいな運しかないような男、生きてたって仕方ねぇよ。」
そんな弱音を吐く村田に、竹内は本気でヤバいな…と不安になった。