第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
次の日、土曜で部活も休みだった俺は
歴史資料館に足を運んだ。
単純に彼女に会いたかった。
それと、久しぶりの資料館に新しい展示物も増えていて、その辺の興味も相まった。
「…あれ、煉獄先生?」
昨日の今日にまた見かけるその目立つ髪の毛を見間違えるはずがない。
西ノ宮さんが声をかけてきてくれた。
何と喜ばしいことだろうか。
「む!こんにちは!昨日久しぶりにここに来たら新しい資料が増えていて。
興味を惹かれてまた来てしまいました!」
本当はあなたを見に来たという理由が1番だということは伏せておく。
「そうでしたか!私今日は予約もないですし、空いているんです。よければ解説しましょうか?」
願ってもない申し入れに断るはずもなく、彼女の丁寧な解説を聞きながらあっという間に館内放送が閉館を告げる。
「恐らくまた頻繁にこちらにくると思います。
しかし、不審がらないで下さい!どうしても調べ尽くしたくなる性でして。」
「大丈夫です。毎日のようにくる方が殆どですから。歴史好きな方はそうなんでしょうね。」
そう柔らかく微笑む彼女を見て、完全に自覚した。
俺は彼女に惚れている。
まだ彼女については知らないことが多いのに、この上なく。
「ありがとうございます!多分明日も来ます!」
クスクスと笑う西ノ宮さんに見送られ、俺は家に帰った。
さぁ、ここから彼女をどう調べ尽くすか…。
俺の研究心がドス黒く渦巻いた。