第2章 鳥籠の鳥 ❇︎ 【煉獄】
そう言いながら資料集の文字を辿る白い指に釘付けになった。
その指で触られた部分はどう温もりを感じるのか…。
それに気づいた俺は、何を考えてるんだと我に帰り、彼女との打ち合わせに集中しようとした。
でも、なかなか頭が切り替わらない。
いつもならすぐに切り替えできるのに…。
なんとか打ち合わせを済ませることができ、実際に見るブースを確認することとなった。
コツコツとなるヒールの音が響く中、彼女の後ろをついていく。
20…いや30センチ近く差があるだろうか…
そんな小さな彼女の後頭部を見ながら歩く。
癖毛のような肩までの髪をハーフアップに纏めているのに、自分と同じ髪型だ…と、少し喜んでいる自分がいた。
青のカーディガンに白いブラウス。
紺のパンツスタイルな彼女は、3センチほどしかないがヒール故か腰元が柔らかく揺れる。
あぁ、あの腰から尻にかけての柔らかな曲線はどんな肌触りなのだろうか。
カーディガンに隠された胸元から腰にかけての曲線はどんなものだろうか…。
しかし、カーディガンが青というのが気に食わないな…
彼女には似合っているが、俺の好きな色ではない。
「…ここからが信長に関する書籍を展示したブースになります。
これを読むのは大変なので、私が要約したものをお話ししようと思います。」
西ノ宮さんが振り返りブースの話をすると、俺は意識を打ち合わせに向ける。
ある程度、どの辺にどのくらいの時間をかけるかを話し、この日の打ち合わせは終わりを迎えた。
来週の木曜日が課外学習の日。
楽しみで仕方がない。
それは歴史好きの性か。
それとも、男としての性か。