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あなたの…【鬼滅の刃】 短〜中編

第11章 そういうところ 【伊黒】



「その傷を触っても?」

突然の申し出に伊黒は狼狽えたが、静かに頷く。
そして、奏の少し冷えた指先が遠慮がちに触れる。


「もう…痛みませんか?」

「痛みはない。大丈夫だ。」


「伊黒様、私のことを好いてくれているというのは…本当ですか?」


涙を拭いながら、奏は伊黒に問いかけた。
自分で言ったことたが、恥ずかしさで赤面してしまう。


「あ、あぁ。いつも優しく笑う君を、す…好いている。」

「嬉しい。それじゃ、両思いですね。」

ニコッと笑う奏に伊黒は今までの話は聞いていたのか、と拍子抜けした。

「だ…だから…俺は穢れた血が…」

「でも、貴方はそれを嫌がって逃げたのでしょう?」

「そ、そうだが…。それに、この傷も…醜いだろう。」


ふいっと視線を逸らし、傷を気にする伊黒に奏は柔らかく笑いかける。


「確かに驚きこそはしましたが、醜くなんてありません。
初めて見せてくれた…。初めて話してくれた…。
私には沢山の人が知らない、伊黒様の秘密を知ったようで嬉しいです。」


「この話を聞いて…まだ俺を想ってくれるのか…?」


戸惑う伊黒の手を握る。


「私は、まだまだ貴方のことを知らないかもしれない。
…だから教えてくださいね。」

「し、信用しない、信用しない…。そんなはず…」


自分に言い聞かせるようにブツブツ言っている伊黒に奏はクスリと笑う。

「疑い深いのですね。でも、私のことは信用してください。」

「善処…しよう。」


「…でも貴方のそういうところも、好きです。」


奏がそんなことを言って微笑むから…
伊黒は思わず抱き締めた。

そして、どちらからともなく

静かに唇を重ねた。



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