• テキストサイズ

あなたの…【鬼滅の刃】 短〜中編

第11章 そういうところ 【伊黒】



奏はぼーっと宛なく彷徨っていた。


(伊黒様には想い人がいる。そうよね。いるわよね。あんな素敵な人だもの。その人は伊黒様のどこが好きなのかしら。やっぱり綺麗な瞳?優しいところ?)

しかし、奏は気づく。
客としての伊黒しか知らない…とろろ昆布をいつも買うが、本当に好物か?
奏の家は乾物屋。昆布を買いに来て当然だろう。

それに…


(お顔全体を見たことがない。)


奏の口元には笑みが浮かぶ。


滑稽だ。
自分は何も知らないではないか。
それに伊黒様からしたら、ただの乾物屋の娘。
私のことなど何一つ知られていない。

それで想いあえたなら…と夢見ていたなど。



次第に視界が涙で滲み、道の隅に蹲って泣いた。







日が沈んでいくことにも気づかずに。




/ 283ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp