第11章 そういうところ 【伊黒】
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数日後、奏はお使いで街に出ていた。
母に頼まれたものを調達し、家に帰る途中前から数名の男たちが歩いてくる。
随分と派手に煌めく装飾を付けた上背のある男と、
髪色が金色に緋色が毛先に入る、これまた派手な出立ちの男。
そして
「あれは…伊黒様!!」
あの縞模様を見間違えるはずがない。
しかし、奏は恥ずかしさと、気づいてもらえなかったら…との不安で、小道に身を潜めた。
こそこそしてしまったけれど、致し方ない。
(お店以外でお見かけできるなんて!それにしてもご友人はどちらも派手な方ね…。)
すると次第に話し声が聞こえてきた。
「なぁ、お前の認める可愛子ちゃんをそろそろ見せてくれよ。」
一番大きな派手な男が伊黒に詰め寄っている。
「ふん、全く下世話な男だな。何故宇髄に見せなくてはならない。」
「む!では俺なら見てもいいのか?」
今度は中位の派手な男が大きな声で問いかける。
「煉獄では声のデカさに驚かせてしまう。」
宇髄、煉獄が両名の名前のようだ。
「彼女は大事な人なんだ。そう簡単に見せるわけにはいかん。」
そう2人に怒鳴る伊黒を見て、奏から一気に血の気が引いた。