第10章 現代鬼殺隊 【竈門】
「この辺りだな!」
その頃、公園に向かい走る姿がもう1人。
黒のシャツに黒のパンツ。
腕には市松模様の腕章を付けている。
赤みがかった髪に赤い瞳。
額には火傷の跡のような痣。
その姿の正体は、竈門炭治郎。
彼もまた背中に日輪刀を背中に背負っている。
鎹鴉に導かれて訪れた公園。
炭治郎は木陰に身を潜める。
「塾帰りを狙ってるって事だよな。」
くんっ、と鼻を鳴らす。
しかし、不思議なことに鬼の匂いはしない。
その代わりと言ってはなんだが、ふわりと微かに香る菫の匂い。
「あれ…この匂い…どっかで…」
どこで嗅いだ匂いだったか…と炭治郎は考える。
『カァー!間モナク時間!時間!!』
鴉の声に炭治郎は日輪刀をベルトに挟める。
いつでも抜刀できるように身構えた。
すると、だんだんと香水のような強い匂いが鼻をつく。
高校生たちが塾からぞろぞろと出てきた頃
不自然にフラフラと歩く女を見つけた。
その女は若く、綺麗な見た目をしていて、鬼かどうかは見分けがつかない姿だった。
「く…香水が強くて鼻が利かない…。
あの人が鬼なのか?」