第9章 現代鬼殺隊 〜プロローグ〜
奏はとても焦っていた。
アパートのベランダから飛び降りて、ひたすら逃げるように走る。
「どうしよう、あれは絶対に煉獄先生だった。」
奏は鬼殺隊が他に誰がいるのかは知らない。
そして、誰とも関わりたくはなかった。
夢の呼吸。
それは相手を眠らせ、夢を見ている間…もしくは夢が現実か分からぬ間に頸を斬る。
その時、呼吸から発生する菫の香りが誘眠剤となるのだ。
まだコントロール不足で、この呼吸を使いこなせていない。
だから素性を隠すため半面をかけている。
一人でひっそりと鬼を狩りたい…それが奏の望み。
誰も巻き込みたくは無い。
しかし、あそこに来たということ、そして『炎の呼吸』と言っていたこと。
(煉獄先生も鬼殺隊なんだわ…)
思わず叫びそうだったが、なんとか堪えて声も聞かれずに済んでいる。きっと大丈夫、バレてない。
そう思いながら、奏はいつも通り家に戻りそれから眠りについた。