第9章 現代鬼殺隊 〜プロローグ〜
奏はこの学園内では珍しい部類の
前世は鬼殺隊に関係なかった人物。
なので、記憶もなければ鬼殺隊自体を知らなかった。
もちろん鬼の存在も。
「おぅ、授業始めんぞォ。教科書35ページ…」
成績もずば抜けて良いというわけではなく、中の上…と言ったところか。
服装なども悪目立ちせず、至って普通の生徒だ。
友達も多く、男女ともに仲良くできる。
クラスで人気者!というよりは、みんながあの子は良い人。好き。というようなタイプ。
そんな奏には別の顔があった。
実はひっそりと現代では鬼殺隊として鬼を斬っている。
誰にも知られることなく。
この学園に入学してから3ヶ月間で数多くの鬼を斬ってきた。
夢の呼吸
これが彼女の戦いでの呼吸だった。
誰に習ったでもない。自然と自分の中に芽生えたものだった。
全ては奏の鴉、八重との出会い。
そして今日も。
(ん…?あれは…)
授業が終わる頃、左羽の一枚だけが白い鴉が旋回した。
八重である。
号令を済ませると、奏は八重の元へと向かった。
屋上の片隅。奏は八重を肩に止まらせた。
『任務、北北西。
アパートノ一室。アパートノ一室。』
現代の鬼は人間に巧妙に化ける。
このように建物や家の中にいることも多い。
「…アパートの一室か…。
今日は少し厄介そうね。」
そう呟いて、八重を一撫でしてから空へと帰す。